クラウド・コンピューティング アップルとグーグルの提携の可能性?

クラウド・コンピューティングについて非常にわかりやすい解説をみつけた。


出所:howstuffworksの記事"How the Google-Apple Cloud Computer Will Work"
by Chris Pollette


この解説は、howstuffworksというウェブサイトのChris Pollette氏が書いたものだが、Nicholas G. Carr氏の著作やブログに基づいている。クラウドコンピューターの世界が具体的にイメージできる点でとてもわかりやすく書かれていると思う。また、アップルとグーグルがクラウドコンピューティングを前提としたパートナーシップを組むとのCarr氏の見方を紹介して面白い。


ただ、そのパートナーシップについては、両社にとってどのようなインセンティブがあるのか解説が欲しい。たしかに、アップルがクラウドコンピューティングを前提にしたデバイスMacBook Airのようなもの)を提供し、グーグルがバックエンドを提供する、という組合わせはわかるが、技術プラットフォームがオープンであれば、グーグルが提供するプラットフォームは、アップルのみならずあらゆるデバイスメーカーを受け入れてもいいだろうし、アップルもあらゆるバックエンド提供者と組めばいいと感じるからだ。


グーグルにしてみると、広告ビジネスを前提にする限り、やはり情報流通のハブになりたいだろう。そのためにデバイスと組んでユーザーを自分のハブに繋げるようにロックインしたいということなのだろうか?ぼくはパートナーシップがあるとしたら、その目的がなんなのかということに興味をもった。


なお、howstuffworksは米国のケーブルテレビのディスカバリーチャネルを運営するDiscovery Communications社が運営しているウェブサイトで、世界の仕組みをわかりやすく解説する辞典だ。ここで、cloud computingクラウド・コンピューティング)を検索した結果得られたのが、この解説だ。


以下では、まず、解説の中で面白かった部分をいくつか紹介し、最後に、全文の試訳を紹介する。

Introduction to How the Google-Apple Cloud Computer Will Work

In his new book "The Big Switch: Rewiring the World, from Edison to Google," computer industry writer and former executive editor of the Harvard Business Review Nicholas G. Carr discusses the changes he sees in the future of computing. One of the more dramatic changes is a shift to cloud computing -- where applications and files are stored on a large, centralized supercomputer or network. The end user accesses his or her files using computers that are more streamlined but less sophisticated than today's typical machines.


(試訳)コンピューター業界ライターでハーバードビジネスレビューの元エグゼキュティブエディターだったNicholas G. Carrは、近著"Big Switch"で、コンピューティングの将来のがどう変化するかについて書いている。一番大きな変化はクラウドコンピューティングへの転換だ。そこでは、アプリケーションやファイルが巨大なスーパーコンピューターあるいはネットワークに集中される。エンドユーザーは、自分のファイルにアクセスするのに、今日使っている典型的なマシンよりももっとスリム化されたマシンを使うようになる。

On October 17, 2007, Carr took the idea a step further in a posting on his Rough Type blog. He called out two hot technology companies, Google and Apple, and said they were on the verge of a partnership in which Apple would make an inexpensive piece of hardware users could carry around. This would leverage the computing power of the vast data centers Google has been building to hold the applications and the data for millions of users.


(試訳)2007年10月17日にCarr氏はブログでもう一歩踏み込んだ考えを示した。グーグルとアップルはまもなくパートナーシップを組み、アップルはユーザが持ち運べるような安価なハードウェアを提供するようになる。これはグーグルが何百万のユーザーのためにアプリケーションやデータを保存するために建設してきた巨大なデータセンターのコンピューティング能力を活用しようというものだ。

A Googol of Power

With a cloud computer, you probably wouldn't have to pay for software. Using applications hosted on the server, your local machine would have all the software it needs to work without having to store it locally. You wouldn't have to update your software to the next version -- and everyone would use the same software on the cloud. There should be no compatibility issues.


(試訳)クラウドコンピューターがあれば、ソフトウェアを買わなくてもよくなる。サーバーにあるアプリケーションを使えば、自分のローカルマシンは、マシン自体にソフトウェアをもつことなくても、必要なソフトウェアをすべて持っていることとなる。そして、自分で次のバージョンにアップデートする必要もなくなり、みんなが同じソフトウェアをクラウドの上で使うことができるようになる。そこには互換性の問題はありえない。

One of the biggest problems involved with creating a cloud computer is the amount of electricity required to make it work. Google built its data center in The Dalles, Ore., because of the high-speed Internet access powered by fiber optic lines and the nearby The Dalles Dam [source: Gilder]. Google needs large amounts of electricity to power the cooling equipment necessary to keep thousands of servers running. In fact, the two football-field-sized buildings each have two cooling plants four stories tall [source: Markoff and Hansell].


(試訳)クラウドコンピューターの最大の問題のひとつは、必要となる電力量だ。グーグルがオレゴン州ダレスにデータセンターを建設した理由は、光ファイバーによる高速インターネット接続と近くにあるダレスダムである。(出所:Guilder)グーグルは何千ものサーバーを動かし続けるために必要な冷房装置稼働に大量の電力を必要とする。実際、アメフトグラウンドの広さはある二つの建物はそれぞれふたつの4階建ての冷房プラントをもっている。(出所:Markoff and Hansell)

Why Google and Apple?

Google CEO Eric Schmidt joined Apple's board of directors in August 2006. When asked about the idea of teaming up with Apple in a December 2007 interview with Wired Magazine, Schmidt said it plainly: "Google's architectural model around broadband and services and so forth plays very well to the powerful devices and services Apple is doing. We're a perfect back end to the problems that they're trying to solve" [source: Vogelstein].


(試訳)グーグルCEOのエリック・シュミット社長は、2006年8月にアップルの取締役に就任した。2007年12月のワイアード誌とのインタビューでアップルとの連携に関する質問に対して、シュミットは「グーグルのブロードバンドやサービスなどのアーキテクチャモデルは、アップルの強力なデバイスやサービスとよく呼応する。わが社はアップルが解決しようとしている問題に対する完璧なバックエンドなんだ。」と答えている。(出所:Vogelstein)

If Google and Apple do team up for this sort of partnership, here's what Carr feels their cloud computer would be like:
-Inexpensive: The machine you'd buy would be under $200 and there would be no charge for applications or data transfer.
-Green: With a low-power chip and flash memory, an Apple thin client -- a network computer -- would have no power-hungry optical drive or hard drive.
-Easy to maintain: No optical drive or hard drive also means fewer moving parts, which means it would probably live a longer life.
-Easy to update: You wouldn't have to worry about updating your software, that would all be taken care of for you. You could just use your machine until it simply wore out [source: Carr].


(試訳)グーグルとアップルがこのようなパートナーシップを組むとしたら、彼らのクラウドコンピューターは次のようになるとCarrは考えている。
-安価:私たちが買うマシンは200ドル以下で、アプリケーションを搭載せず、データ転送もない。
-環境にやさしい:低電力消費のチップとフラッシュメモリーをもって、アップルのシンクライアント(ネットワークコンピューター)は、電力を食う光ドライブやハードドライブをもたない。
-簡単なメンテナンス:光ドライブやハードドライブがないので、可動部品が少なく、より長持ちする可能性がある。
-簡単なアップデート:自分のソフトウェアのアップデートを心配する必要がない。すべて面倒をみてもらえる。私たちはただ自分のマシンを使いきればよい。

Cringely believes that Apple will make Carr's cloud-computing device but will also make other cloud computing devices at a variety of prices. He says that Apple will be the dominant company in the partnership, and Google would take a back seat.


(試訳)Cringely(有名なテクノロジーレポーターでコラムニスト)は、アップルはカーの言うようなクラウドコンピューティングバイスを作り、さらに他のクラウドコンピューティングバイスをさまざまな値段で作ると考えている。彼は、このパートナーシップにおいてはアップルが主導権を握り、グーグルは後部座席につくことになるだろう、と見ている。

Other Cloud Candidates

Two of the leading candidates to compete with Google or a partnership with Apple may be joining forces. On Feb. 1, 2008, Microsoft announced it had made a bid for Yahoo, which would help both companies in their quest to beat out the search giant [source: Microsoft]. In addition to massive computing power and many other Web services, Yahoo brings a robust Web mail network and photo site Flickr to the table. Meanwhile, Microsoft offers Windows Live, a word processing program and calendar. With its Office suite already entrenched in the desktops of offices across the country, a Microsoft cloud could enter the race as a contender.


(試訳)グーグル、あるいはアップルとのパートナーシップと競争できる候補の二つが手を結ぶかもしれない。2008年2月1日、マイクロソフトはヤフーへの買収提案を発表した。この買収提案は、両社が検索最大手に対抗する点で役立つだろう。(出所:マイクロソフト)巨大なコンピューティングパワーと多くのウェブサービスに加えて、ヤフーはしっかりしたウェブメイルネットワークやフォロサイトのフリッカーをテーブルにだす。同時に、マイクロソフトはウィンドウズライブ、ワープロプログラム、カレンダーを提供する。国中のオフィスのデスクトップにすでに組み入れられているウィンドウズオフィスがあるので、マイクロソフトクラウドは対抗馬としてレースに参戦することができるだろう。

全文試訳


Introduction to How the Google-Apple Cloud Computer Will Work


コンピューター業界のライターでハーバードビジネスレビューの元エグゼキュティブエディターだったNicholas G. Carrは、近著"Big Switch"で、コンピューティングの将来がどう変化するかについて書いている。一番大きな変化はクラウドコンピューティングへの転換だ。そこでは、アプリケーションやファイルが巨大なスーパーコンピューターあるいはネットワークに集中される。エンドユーザーは、自分のファイルにアクセスするのに、今日使っている典型的なマシンよりももっとスリム化されたマシンを使うようになる。


2007年10月11日にCarr氏はブログでもう一歩踏み込んだ考えを示した。グーグルとアップルはまもなくパートナーシップを組み、アップルはユーザが持ち運べるような安価なハードウェアを提供するようになる。これはグーグルが何百万のユーザーのためにアプリケーションやデータを保存するために建設してきた巨大なデータセンターのコンピューティング能力を活用しようというものだ。


クラウドコンピューティングのアイデイアは新しいものではない。オラクルのラリー・エリソンは2000年にNew Internet Computer社を立ち上げ、このアイディアの実現に向けて業界をリードした。コンセプトはシンプルだ。手元のデスクには、プロセッサー、キーボード、モニターだけをもつ非常に安価なコンピュータをもつ。そこにはハードドライブもCD/DVDドライブもない。インターネットにつなげて、中央のスーパーコンピューターに接続する。そのスーパーコンピューターに全てのプログラムやファイルが納められているのだ。しかし、このアイディアは時期尚早だった。NIC社は非常に安く売却された。おそらく原因は米国におけるブロードバンド不足にあった(出所:PCWorld誌)。同社は2003年に倒産した。


ところが、2006年にもなると、アメリカ人のほぼ75%が自宅でブロードバンドアクセスを持った。(出所:Neilsen/NetRatings)グーグル/アップルチームはクラウドコンピューティングを広めることができるだろうか?もし先行できるとしたら、それはグーグル/アップルにとって何をもたらすのだろうか?最大の疑問は、もし彼ら二社がクラウドコンピューターを構築したら、誰かが使うのだろうか?


A Googol of Power


グーゴルとは10の100乗である。グーグルという社名は、インターネット上にある膨大な情報の動向を把握したいという創業者の願いに由来している。(出所:グーグル)同社は成長するに従って、単なるウェブ検索だけでなく多くのサービスを提供しはじめた。社内イノベーションと買収を通じて、グーグルは現在のGoogle Docsを創ったが、これはウェブベースのアプリケーションセットで、ワープロスプレッドシート、プレゼンテーションプログラムを含んでいる。Gmailは、企業向けでマイクロソフトと直接対決することとなった。マイクロソフトオフィスと違って、Google Docsは完全に無償である。


これらのホステッドサービスは、クラウドコンピューターの中核となるアプリケーションのようなものであり、パートナーを組むべきハードウェアメーカーにとって完璧なバックエンドにグーグルがなることを可能にするための理由のひとつである。グーグルのマシーンは、コンピューターマシンのネットワークだが、驚くべきパワーを提供する。また、余剰ももたらす。グーグルはすでにそのコンピューターに何重にもバックアップを保存しており、もしコンピューターのある部分が壊れたとしても、情報を損失することなく交換することができるようになっている。(出所:Baker)グーグルの巨大なインフラに備えられたクラウドコンピューターを使うことは、自分でファイルを保管しなければならないということから解放されるのだ。サムドライブ、ラップトップのハードドライブ、CD、DVDや他の補助記憶メディアを持つ必要もない。自宅からでも仕事場からでも外出先から自分のモバイルコンピューターを使ってでも自分のプロジェクトの仕事をすることができる。


クラウドコンピューターがあれば、ソフトウェアを買わなくてもよくなる。サーバーにあるアプリケーションを使えば、自分のローカルマシンは、マシン自体にソフトウェアをもつことなくても、必要なソフトウェアをすべて持っていることとなる。そして、自分で次のバージョンにアップデートする必要もなくなり、みんなが同じソフトウェアをクラウドの上で使うことができるようになる。そこには互換性の問題はありえない。


しかし、フリークエントフライヤーが機内で仕事をしなければいけないときはどうするのか?クラウドコンピューターにはインタネットへの接続が必要だが、今の航空機はそれができない。何社かは機内接続サービスの提供を計画しているが。本を読んだり、機内映画を見たりずっとしなければならない。それに、グーグルあるいは他の誰かに自分の書類をネット上で保管されても心配するようであってはならない。多くの企業は書類がファイヤーウォールを越えることを許していない。もし、多くの仕事がクラウドコンピューティングモデルの上で行われるようになったら、こうした企業は考えを変えるだろうか?


クラウドコンピューターの最大の問題のひとつは、必要となる電力量だ。グーグルがオレゴン州ダレスにデータセンターを建設した理由は、光ファイバーによる高速インターネット接続と近くにあるダレスダムである。(出所:Guilder)グーグルは何千ものサーバーを動かし続けるために必要な冷房装置稼働に大量の電力を必要とする。実際、アメフトグラウンドの広さはある二つの建物はそれぞれふたつの4階建ての冷房プラントをもっている。(出所:Markoff and Hansell)


もしグーグルが世界にコンピューティングクラウドを提供するのに必要なプロセッシングパワーを扱えないとしたら、必ずや自分で作ってしまうだろう。しかし、なぜグーグルはエンドユーザーハードウェアに関してアップルとパートナーを組むのだろうか?Carrの見方と他の意見を読んでみる。


Why Google and Apple?


では、なぜCarrらはグーグルが一般ユーザーのためにクラウドコンピューティングネットワークを創ることに興味があると考えているのだろう。それはそんなに難しいことではない。グーグルは今や世界で最大のコンピューティング企業のひとつであり、新たな技術や新たなビジネス機会に興味をもっている。


グーグルCEOのエリック・シュミット社長は、2006年8月にアップルの取締役に就任した。2007年12月のワイアード誌とのインタビューでアップルとの連携に関する質問に対して、シュミットは「グーグルのブロードバンドやサービスなどのアーキテクチャモデルは、アップルの強力なデバイスやサービスとよく呼応する。わが社はアップルが解決しようとしている問題に対する完璧なバックエンドなんだ。」と答えている。(出所:Vogelstein)


Carrによれば、アップルはパートナーに対してバックエンドをドライブしなければならないようなスーパーコンピューティングパワーのようなものをもたない。それをする企業はそんなに多くない。グーグル、ヤフー、マイクロソフトIBM、アマゾンのみがその可能性をもっている、とヤフーのリサーチヘッドのPrabhakar Raghavanは言う。(出所:Baker)グーグルとアップルは数年遡ってパートナーシップを組んだ。もし、マイクロソフトが2008年2月1日に発表したヤフー買収提案に成功すれば、この両社は洗練されたクラウド・コンピューティング環境を十分に活用することができるだろう。


グーグルとアップルがこのようなパートナーシップを組むとしたら、彼らのクラウドコンピューターは次のようになるとCarrは考えている。
-安価:私たちが買うマシンは200ドル以下で、アプリケーションを搭載せず、データ転送もない。
-環境にやさしい:低電力消費のチップとフラッシュメモリーをもって、アップルのシンクライアント(ネットワークコンピューター)は、電力を食う光ドライブやハードドライブをもたない。
-簡単なメンテナンス:光ドライブやハードドライブがないので、可動部品が少なく、より長持ちする可能性がある。
-簡単なアップデート:自分のソフトウェアのアップデートを心配する必要がない。すべて面倒をみてもらえる。私たちはただ自分のマシンを使いきればよい。


このディールにおいて、アップルはハードを売り、グーグルはサーバー提供のコストをこれまでやってきたのと同様に広告で補填するだろう。シュミット曰く、グーグルは無償でできるだけ多くのサービスを提供する、と。しかし、より先端的なユーザーはより多くのfeatureへのアクセスに関してフィーを要求されるだろう。


Robert X. Cringelyは、有名なテクノロジーレポーターでコラムニストだが、グーグル/アップルのクラウドコンピューティングパートナーシップは実現するという点でCarrに賛成している。しかし、彼はCarrが考えているほどディールは簡単ではないと考えている。むしろ、アップルの神格化されたCEOで創業者であるスティーブジョブスの個性は、シュミットやグーグルにとって苛立の種となりかねないだろう。シュミット(とCarr)はアップルがスーパーコンピューターをもっていないと見ているが、ジョブスはグーグルはスーパーコンピューターをどう使うかをわかっていないと思っていて、さらに、彼はいつでもスーパーコンピュターは借りられると考えている。(出所:Cringely)


Cringelyは、アップルはカーの言うようなクラウドコンピューティングバイスを作り、さらに他のクラウドコンピューティングバイスをさまざまな値段で作ると考えている。


アップルは顧客にサービスを提供するために他のパートナーを見つけることは本当にないのか?もしグーグルとアップルが組んだら?誰かがここに乗るか?次はクラウドコンピューテイングに関する他の活動についても学ぼう。


Other Cloud Candidates


クラウドコンピューティングのアイディアが非常に多くの注目を集めるひとつの理由には、グーグル以外の企業による実現のための努力がある。マイクロソフト、アマゾン、IBMクラウドサービスの提供を検討していると知られている企業の例だ。


グーグル、あるいはアップルとのパートナーシップと競争できる候補の二つが手を結ぶかもしれない。2008年2月1日、マイクロソフトはヤフーへの買収提案を発表した。この買収提案は、両社が検索最大手に対抗する点で役立つだろう。(出所:マイクロソフト)巨大なコンピューティングパワーと多くのウェブサービスに加えて、ヤフーはしっかりしたウェブメイルネットワークやフォロサイトのフリッカーをテーブルにだす。同時に、マイクロソフトはウィンドウズライブ、ワープロプログラム、カレンダーを提供する。国中のオフィスのデスクトップにすでに組み入れられているウィンドウズオフィスがあるので、マイクロソフトクラウドは対抗馬としてレースに参戦することができるだろう。


もうひとつの潜在的な競合他社はアマゾンドットコムである。すでに世界最大のオンライン小売り業者であるが、アマゾンは他の分野にも興味を示している。アマゾンウェブサービスはネット上で仕事をする場所を求めている小規模デベロッパー達を狙ったクラウドリソースセットである。(出所:アマゾンドットコム)アマゾンElastic Compute Cloud (EC2)は、ユーザーに対して仕事のためのコンピューティングパワーを提供する。ファイルをアマゾンSimple Storage Service(S3)に保存することができ、SimpleDBというデータベースを使ってより小さなファイルを迅速に保存したり、アクセスしたりすることができる。(出所:Claburn)


2007年11月、IBMはブルークラウド計画を発表した。顧客が自分で内部クラウドをつくれるようにハードとソフトのパッケージを提供しようというものだ。(出所:LaMonica)同社はすでにグーグルと組んで一ヶ月前に米国の6大学にクラウドソリューションを提供しようとしている。IBMはこのプログラムを発展させてより多くの大学や企業や政府関係が参加できるようにしたいと考えている。(出所:Lohr)


多くの会社がクラウドネットワーク上でオペレーションできるように設計されたハードを提供している。たとえば、ヒューレットパッカード、デル、クリアキューブである。しかしながら、必ずしもクラウドネットワークにアクセスするためにコンピューターが必要という訳ではないし、ワイヤレス電話のように他のハードウェアでインターネットに接続することもできる。2008年1月には、グーグルは700MHz帯域の認可を得るために入札した。これは、ワイヤレス電話サービスの提供が可能となる。(出所:CNET New)もしこの入札に勝てばCarrの考えに可能性により近づく。グーグルはこの帯域は様々なデバイスが接続可能で、入札が46億ドルのリザーブ価格に一度達したらスペクトラムはオープンアクセスになる、という同社の願いがかなった、と主張した。


Carrは自らのブログでグーグル/アップルパートナーシプが数年後ではなく数ヶ月後に実現することを期待しているとの熱意にも関わず、どちらの会社からも正式な発表はない。しかし、2008年1月、アップルはいくつかの点でクラウドコンピューターに類似した新製品を発表した。


サンフランシスコのMacWorldにおいて、アップルCEOのスティーブジョブスは、クラウドコンピューティングバイス、マックブックエアに最も近い製品を明らかにした。それは、最大でも1インチ以下の薄さで、ジョブスは製品発表の際、デモ機を郵便封筒からだしてみせた。重量はたったの3ポンド。そこまで薄くするために、アップルのエンジニアたちは、光ドライブ、イーサネットを含めたいくつかのコネクションを犠牲にした。バッテリーは、ユーザーが交換できないような形で内蔵されてしまった。本来のシンクライアントとは異なって、MacBookAirはハードドライブをもち、これまでのドライブでも可能だし、solid-stateドライブにもなる。(出所:Apple


しかし、今のところ、グーグルとアップルはクラウドバイスに関して正式にはパートナーを組んでいない。MacBookAirはストレージやソフトウェアに関してグーグルとのみ連携しているわけではない。